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アンミンちゃん。

最後まで諦めなかった命 ―

アンミンちゃんとの短い出会い


先日、ジオラマ食堂に一本の電話が入りました。


「車の下で茶白の猫がうずくまっています。

頭を左右に振っていて様子がおかしいんです。

なんとかなりませんか?」


電話をくださったのは、

以前からジオラマ食堂に来てくださっている方でした。


場所を聞くと、お店から車で数分の距離。


私は山本社長とともに、すぐに現場へ向かいました。


時刻は夜8時。


そこには、車高の低い車の下で

うずくまる一匹の茶白猫がいました。


耳にはさくら耳のカット。


近所の公園で暮らしていた

地域猫だったのかもしれません。


しかし、その様子は明らかに普通ではありませんでした。


なんとか保護し、急いでジオラマ食堂へ。


スタッフの藤川に頼み、

少しでも体力が戻ることを願って

ブドウ糖を経口で与えました。


すぐに夜間救急病院へ連絡。


抱き上げた体は軽く、そして力がありませんでした。


「これはかなり危険な状態かもしれない」


そう感じながら、保護を依頼された方から

お預かりした5万円を持ち、

夜間救急病院へ車を走らせました。


幸い15分ほどで到着。


受付でキャリーケースごと猫を預けると、

すぐに蘇生処置が始まりました。


そして私たちは、その現場に立ち会うことになりました。


心肺停止。


医師たちは懸命に処置を続けてくださいました。


10分。


15分。


20分。


それでも奇跡は起きませんでした。


処置を続ける医師から、


「まだ続けますか?」


と尋ねられました。


私は静かに答えました。


「どうか、この子を楽にしてあげてください。」


その瞬間、この子の死が確認されました。


病院の静かな診察室で、

私の頭の中にはずっと、保護依頼をしてくださった方の言葉が響いていました。


「帰って来いよ。」


その声が、今でも離れません。



病院では名前を聞かれました。


名前のないまま旅立たせたくなかった。


だから私は、


「安らかに眠る」


という願いを込めて、


アンミンちゃん


と名付けました。


推定5歳ほどの女の子でした。


病院代金を精算し、残った3万円は依頼主の方へ返金。


そして火葬・埋葬費用として1万円をお預かりしました。


翌朝。


スタッフたちとともに、いつも猫たちを見守ってくださる泰聖寺様にお迎えに来ていただき、アンミンちゃんを送り出しました。



今回の出来事で、私の心に深く残った光景があります。


病院へ一緒に来てくださった若い男女のカップル。


身体にはたくさんのタトゥーが入っていました。


世間では様々な見方をされるかもしれません。


しかし、その二人は病院から戻ったあとも、

ジオラマ食堂の玄関でアンミンちゃんを抱きしめ、涙を流していました。


その姿を見て私は思いました。


まだまだ日本も捨てたものではない。


見た目では人はわからない。


小さな命のために本気で涙を流せる人がいる。


悲しい出来事だったはずなのに、

その光景にはどこか温かさもありました。


悲しみと同時に、人の優しさに触れた瞬間でもありました。



アンミンちゃんを見送って帰宅したのは深夜。


ようやく一息ついたその時、また電話が鳴りました。


「猫の保護をお願いできませんか?」


また新しい命のSOSです。


終わりのない活動です。


救えない命もあります。


間に合わないこともあります。


それでも、誰かが電話をかけてくれる。


誰かが命を気にかけてくれる。


だから私たちは今日も走ります。


アンミンちゃん。


短い時間だったけれど、あなたのことは忘れません。


どうか安らかに。


そして、もし生まれ変わることがあるなら、

今度は最初から愛される猫として、


幸せな一生を送れますように






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